【Stoner ARES製】
「ストーナー」といえばM16にボックスマガジンを搭載したような外観のMk23やMk63の方が有名です。
G&Pから電動ガンが発売されていますが長い・重い・高いで滅多にお目にかかれません。
「KAC(ナイツ) STONER」は5.56mmをベルトリンク&ボックスマガジンで使用するコンパクトサイズの
LMGでM249 minimiのショートバージョンと同路線のジャンルになります。
サイズはアサルトライフル(M4系)クラス、外観は武骨でシンプルです。
箱にパイプ、無理やり付けたようなレイルシステムといった構造は良く言えば実用性重視なデザインです。
このような実用性重視デザインであるM1919やM2、M11などは個人的に大好きですがなぜかこの
KAC STONREだけは好きになれません、私の中にある「実用性の美学」に何か合わないのです。
単なる個人的な好みの問題かと思いましたがネット上でもこのデザインは非常に不評でさまざまなコメントを
集約すると「嫌い」が9割以上、「好き」は1割未満といった感じです。
では何でわざわざ嫌いなSTONERに手を付けたか?
それは愛用していたSTAR製超軽量MINIMIがそろそろやばくなってきたので代替機を物色していたのですが
同じSTARやARESのMINIMIは本体以外の部品流通が無いので今と同じ状況に陥るのが分かってますし、
他社製はとてつもなく重量が重いので「きっと使わなくなる」のと、やはり「人が手を付けない物」を味付けする
楽しみに惹かれてあえて嫌いなKAC STONERをターゲットにした訳です。

しかしこのSTONER、外観の好き嫌い以前に電動ガンとしての基本性能・構造・工作精度・組み立て精度
どれを取っても巷の評価は最悪です。
STARからARESまでそれなりに手をかけてきたのでその辺りは十分承知していますが、それでも手を出す理由は
「STAR・ARESは成功すると、とっても良い!」という自己実績があるからです。
裏を返せば「成功以外は最悪」ということです。


箱出し&試射
まずは箱出しチェック、いきなり色んな問題点を目にしますが置いといてとりあえず試射とレギュチェックです。
(普通なら不良品で叩き返すような状態ですがかなりの修理・修正をしました。 詳細は省略します)
回転数はノーマルレベルでさほど遅くはありませんがギアノイズはかなり気になります。
初速はノンホップ、0.2gで78m/s 出荷時にスプリングカットしてあるとのことでタブに記入された数値とほぼ
一致しています。
しかしホップをかけると・・・
ノンホップと弾詰まりの中間地点が無い・・・つまりホップが効く前に詰まってしまうということです。
これも想定内なのでスルーします。

ではこのSTONERをバラします。
まずはメカボックスから
いかにもARESなシンプルメカボです。
外観で目についたのはモーター端子から前方に戻るリード、これは電動マガジンの電源でモーターに電源が入ると
マガジンにも流れるという超シンプル機構です。
しかし通常電動マグといえばマブチモーターを3V、回転上げるために4.5V程度で駆動するのが一般的ですが
メインバッテリーからの電源では倍以上の電圧がかかります、どんなモーター使ってんだ?(抵抗入れてんのか?)
それと外観で気になったのがモーター端子の動力線、赤色が過熱で茶色になちゃってます。
工場の人のハンダ付がよっぽど下手クソだったんでしょう。

残念ながら逆転防止ラッチのリリース機構は付いていません。
MINIMIやM60のようにトップカバーを開いてメカボの上部を露出することができないのと、M14SOPMODの
ようにトリガーを前に押すとリリースできるシステムも、トリガーとラッチの位置が離れているので無理ですね。



では分解です。
トリガーはリミットスイッチで15A、一般的なタイプなので壊れても流通品で互換があります。
吸排気系はご覧のとおり、一見良さそうですがピストンの気密がダメダメでエアが漏れまくりです。
Oリングを伸ばしたりマルイ純正と交換してみましたが回復せず。
どうやらピストン前進時に赤いピストンヘッドとOリングがうまく密着しないようです。
シリンダーやノズルは問題なさそうなのでピストン周りだけ組み替えたところきちんと気密が取れるようになりました。
ギアの精度も問題なさそうなのでそのまま使います。
モーターはシステマっぽいですが全く表示がありません(これもそのまま使用)
軸受はメタルでセクターだけ8mmベアリングが入っていました、とういうか反対側はスパーにベアリングが・・・
どんだけ適当なんだよ〜


ということで、内部はピストンとピストンヘッドだけ交換、洗浄とシム調整・グリスアップで仕上げました。
ただ、メカボのビス5本中2本がナメてましたが幸いギリギリ1サイズ上げられる場所だったので助かりました。
それとメカボの上部を挟み込むプレートはユルユルで簡単に滑り落ちるくらいで無意味でしたのでマルイの
余剰パーツと交換、マガジンの電源を細工したついでに配線は総取替しました。




チャンバー周り
チャンバーユニットはゴツいダイキャスト製でしっかりしてます。
インナーバレルとホップパッキンは一般的な電動ガンタイプです。
当然ですがバレルは内外ともに酸化してグリスベトベト、ホップパッキンは謎の黄緑色ですが多分白いパッキンに
グリスの色が浸透したのではないかと思います。
お約束ですがバレルはピカールで中・外共にピッカピッカに仕上げました。
ホップパッキンはマルイ純正に交換です。


ホップ調整機構の問題
ホップをかけると弾詰まりする最悪の調整機構周りもチェックします。
予想はしていましたが調整レバーにクッションゴムはありません。
金属で成形された調整レバーと一体の「押さえ」部分がダイレクトにホップパッキンを押さえるので
少しでも強く押さえるとすぐに弾が詰まってしまいます。
根本的な改善には突起部分の山を削って溝を作りクッションゴムを収めるのが良さそうです。


よく見ると中央がわずかに窪んでHホップもどきになっています。
どうせ削り取ってしまうのでその前にもう少し溝を深くして効果を確認してみました。
弾詰まりは無くなりましたが結果は0.2gフルホップでギリギリフラット弾道という絶妙な状態です。
そのままでは弾詰まり、削ればストローク不足で弱HOP、非常に極端なバランスです。


Dフィールドの中央付近で水平射撃をするのであればとりあえず使えるレベルの弾道ですが、山へ向かって
撃ち上げたりする時にはもう少しホップを効かせたいところです。
そもそもLMGとして使うのだから前線より後方から弾が届くように強めのホップで射程を稼ぐ必要があります。

純正の調整パーツを削ってクッションゴムが入るようにします。
せっかくなのでライラクスのホップテンショナーを入れて長掛けホップにします。
流速チューンではありませんがテンショナーの厚みで調整ストローク不足解消とできるだけ弱い力で効率よく
ホップをかけるのが目的です。


本体側はまるでこのHOPテンショナーのために作られたかのように無加工でピッタリです。

加工の効果は抜群で完全なノンホップから強烈なホップまでフル調整が可能になりました。
0.25gや0.3gでもセッティングできます。

最近の海外製では一般的な仕組みですが、メカボを分解せずに後部からスプリングが抜けます。
STONERはワンタッチでストックが着脱できるので簡単にアクセス可能、銃を分解せずにパワー調整ができます。


こんな感じでスプリングが抜けます。



マガジンについて
このボックスマガジンはカタログ上の装弾数は約500発となっています。
マガジン全体のスペースとしては1000発程度にできる余裕がありますが他の機構(乾電池式給弾)や
メインバッテリーの収納などを考慮した痕跡が残っているため無駄なスペースがあってこの弾数になっています。
ただ、隙間が無いように弾を入れれば約750発程度は普通に入ります。
それでもAKの多弾数マガジンと変わらない装弾数、3000発も入る特大電動マグと比較すると乏しいところですが
普段ノーマルマガジン&セミオートメインで戦う私にとっては十分な弾数でアサルトライフルとLMGの戦い方も区別
しています。

このマガジンにはダミーのベルトリンクが付いています。
樹脂製で内部にマガジン駆動用電源のコードが入っています。
ちなみに画像のコネクタは交換してあります。
直接マガジンのモーターを単独で回すための細工をしています(純正のコネクターも壊れそうなので)


これが追加の巻き上げボタンです。
最初にマガジンをセットした時に巻き上げておけばあとはトリガー連動で給弾します。
※このマガジンには致命的な問題点があります(詳細は下記参照)
  スイッチは内部の問題を改善した後に付けています


このマガジンの底はバッテリーを収められるスペースがあります。
この部分まで内部ユニットを繰り下げればカタログ上500発の装弾数が1000発くらいに出来たでしょうが、純正で
スティックしか使えないのは困るので角形バッテリーも併用できるように配線を作りました。


こんな感じで別バッテリーのコードが出ます。
ダミーカート内は通っていませんが銃にセットすると見えません。


【ダミーカート交換】
樹脂製ダミーカートは軽くて良いのですが追加のコードと重なってトップカバーが閉まりにくいです。
遠目には分からないのですが近くで見るとやはり安っぽいのでリアルダミーカートに交換します。
合わせてコードを通す溝もカットしました。






こちらは純正のバッテリー収納方法です。
コイツのアウターは実に簡単でロックレバーワンプッシュでスッポ抜けます。
内臓スティックか外付け角形バッテリーかは銃内部のコネクターでつなぎ替えます。


マガジン内部の問題
ARESのボックスマガジンはマルイの多弾数マグのようにゼンマイのテンションがかかりません。
つまりトリガーを引いて電源が入るとマガジンのモーターが回り、弾を押し上げてチャンバーに入る、という行程です。
これではトリガーを引いて数発は空撃ちになるのでバーストショットにすると常に最初は弾が出ないという致命的な
欠陥といえます。
最初にマガジンを付けたり弾を補給した時は20発以上空撃ちしないと弾が上がりません。
これはSTAR製MINIMIのキャンバス生地タイプマガジンの時と同じ構造で、この時はマルイM4系多弾数の内部
機構を移植してまともに使えるようにしました。
今回も同じように大手術をしようかとマガジンを分解すると・・・・?
これを見て気づいた方もおられるでしょうが、このユニットの外観はM4系多弾数マグとウリ二つです。
固定式の給弾駆動のはずなのになぜがカウンターウェイトまで付いている?
画像にはありませんが裏面には見慣れた手巻き用のノコギリ円盤と逆転防止のピンも付いています。
なのに蓄勢できないんです(ガッツリ固定されています)


で、分解して比較してみると
右はマルイ純正マガジンの中身でゼンマイが入っています。
左はSTONERマガジンの部品でご丁寧にダイキャストで作ってありますがゼンマイがありません。
でもサイズはマルイ製とピッタリマッチ。
ここまでやって何でゼンマイ付けなかったの?不思議です。


大移植手術をするつもりでしたがダイキャストパーツと逆転防止ギアのすり替えだけで、加工したのはギアボックス
の駆動軸が結合する部分を金属パテで適当に盛ったくらいで実に簡単でした。
作動も快調でバーストショットでも全く給弾の遅れはありません。


色々手を加えてこんな感じに仕上がりました (上)加工後 (下)加工前
パッと見では誰もSTONERとは気づきませんでした。
フル装備で5kg弱なのでSTARのMINIMIより若干重いくらいです。
使い勝手や取り回しがいいので今後の活躍が楽しみです。









【装弾数増量計画!!】
OCELOTの定例であれば現状で十分なのですがビッグイベントへ遠征に行くと500発のボックスマガジンは
お祭り的トリガーハッピーになれない虚しさが押し寄せてきます。
M249のように大型のボックスマガジンがあればいいのですが残念ながらこの機種用はありません。
本体経由でメインバッテリーの電源を使用するトリガー連動機構も特殊なので流用するにしても手間が
かかりそうです。

一番のネックは給弾口が外チューブではなく本体の直下からダイレクトに上がってくる構造です。
これを一から作るのは大変なので一番構造が近いG&Pミニミ用をベースに選択しました。
↓装弾数3000発!やっぱこうじゃなくっちゃ!


予想はしていましたが給弾口(真鍮の丸)の位置が外寄りです。
STONERは中心付近なので移設加工するつもりでしたがショックなのは本体とのロックレバーが樹脂製で
しかもボックスと一体ではありませんか!(しょぼい)
移設先はちょうどレバーの付け根辺りなので全撤去ですね。
レバーは短く加工して再利用するつもりでしたがこんな樹脂製ではすぐにポッキリ逝ってしまいそうです。
本体から出ているコードはボックス内のバッテリーと銃本体をつなぐ動力線と巻き上げ用のプッシュスイッチで
音感センサーは付いていません。


悩んでも仕方ないのでまず分解です。
って、な〜んにも固定されていないんでズルっと簡単に出てきちゃいました。
こりゃゲーム中にコケたら弾と一緒にマガジンの中身も吹っ飛びそうです。


給弾ユニットはそれなりにしっかり作られています(当然ゼンマイ内臓)
このまま使用するのでスルーします。


ではいよいよ給弾口の移設加工です。
まず真鍮パーツを外します。

表と裏がこんな感じで挟んでいます。

緩めるだけで撤去完了。


何も無くなったところで穴の位置合わせをします。


穴あけ箇所の位置決めです。
単純ですが本体に取り付けてドライバーでグリグリ、誤差を少なくするためできるだけ給弾パイプの内軽に
近いサイズのドライバーを使用してセンターとなる場所に跡を付けました。
あとは外してドリルで正確に穴を開けます。
これがズレると給弾不良になってしまいます。


移植した状態です。
マガジンと本体の隙間が大きいのでチューブで延長し、ロックレバーは今は亡きSTARミニミの忘れ形見から
加工して移植しました。


穴を塞いで完成です。


動力線とトリガー連動(マガジン駆動用電源)コネクターを取り付けます。
あと、単体巻き上げ用のスイッチも付けます。
これが無いと初弾が出るまで空撃ちをする必要があります。
戦闘中に操作することはないので目立たない場所に付けました。


ダミーカートで配線を隠して完成です。
もともと角型9V仕様だったので本体バッテリーと共用でも問題ないようです。
時々強制巻き上げスイッチを押してみますがゼンマイは常にフル巻き状態なので給弾不良も無く巻き上げの
遅れも無いようです。
これで遠征の時はバリバリ撃てます!


【おまけ・・・】
キャンバスタイプのマガジンはコンパクトで取り回しが良いので普段の定例ゲーム用やバックアップとして
使えるようにはしておきたいところです。
それにしても500発は寂しいのでこちらも増量しておきます。
STAR製ミニミでやった「お手軽キャンバスに腹巻き作戦」のマガジンが今回の部品取りに使われたので
残りのパーツで増量します。
これはキャンバス生地に腹巻きのように布を縫い付けて深さを確保し、上部ユニットと下部の給弾ユニットの
間のチューブ延長と嵩上げ固定で弾の収納スペースを700発分程度拡大したものです。

(左)STARミニミ用増量加工マガジン (右)STONER純正500発
「腹巻き」で長くなったキャンバスを移植し、同様に上部と下部ユニットを嵩上げ加工します(以下省略)

これで2つのマガジンが完成しましたが何発入るか数えるのが大変なので
     (満タン重量−空重量)÷0.2g で換算しました
(左)改良型キャンバスマガジン(約1250発) (右)ボックスマガジン(約3250発)


ボックスマガジンを付けるとよりLMGっぽくなりました。
バッテリーの収納スペースも大きくなったのでミニサイズのLiPoやLiFeだけでなくラージサイズのLiFeが
使えるようになりスタミナも十分です。


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