MADMAX(ハドソン)

映画「マッドマックス」で主人公が使用したことで一躍有名になった銃です。
ベースはごく普通の水平2連式ショットガンでバレルとストックをカットしてショート化したものが
このモデルになります。
よって「マッドマックス」はハドソンの商品名で実際の名前ではありません。
実銃ではこのようにバレルがカットされたショットガンは散弾の拡散範囲が広く危険なため
所有しているだけで犯罪になってしまします。
殺人目的の極悪銃ということらしいです。
このダークなイメージからその後さまざまな映画やアニメで主に悪役の銃として登場してきました。

ハドソン製マッドマックスは最初にモデルガンとして登場しました。
映画の影響を受けた同世代にはたまらない銃で、当時学生だった私も小遣いはたいて購入し
中折れ式のアクションを楽しんだものです。
1シェルでキャップ火薬3つを使用するため爆音は相当な物でしたがハンマースプリングが弱く
不発が多いのが悩みのタネでした。
その後時代がエアガンに移行してくるとカートリッジ内でピストンをコッキングして蓄力する
エアガン仕様が登場しましたがその威力は銀玉鉄砲クラスで全くの見かけ倒しでした。
そしてガスガン時代が到来するとガスカートリッジ式が登場しました。
しかし周囲の期待とは裏腹に実物より極端に大きなシェルでありながらBB弾1発装填でも
1m先のターゲットペーパーに弾かれるほどの非力さ!
3発も装填しようものなら飛距離数十センチという涙モノです。
噂によるとごくまれに単発であれば20mくらい飛ぶシェルもあるそうですが全く期待できません。

 上はタナカ製のガスシェル
 12ゲージのリアルサイズです。

 下はハドソン純正ガスシェル
 サイズは不明です。

 台湾製でハドソンのコピー品があり、そのシェルは
 金属製で互換があるのですが、その銃の使用弾に
 ダーツのような金属ヘッドが付いた弾が含まれており
 どう見てもパワーが銃刀法にかかりそうなので手を出す
 のはやめました。
 ちなみに銃本体はフルメタルで日本国内では絶対に×です。



 純正シェルの中にはガスタンクが入っていますが
 何とプラスチック製?
 内圧が高いと破裂してしまうためリキッドチャージは禁止です。
 ガスはボンベを上向にした状態で気化ガスのみを充填します。
 タンク内を貫通するロッドは注入バルブと放出バルブを兼ねて
 います。
 それでなくても容量の無いタンク内を占領するので実際のタンク
 容量は大型リボルバーの薬莢くらいでしょう。
 ここに気化したガスが入っても弾が飛ばせないのは当然と言えます。






まともに弾が飛ばせない銃ですがこいつが気に入っている人はどうしても何とかしたいと思うのです。
タナカのトレンチガンのガスシェルが出てからは改造して弾が飛ぶようにする人も多いようです。
私は当初、タナカ製ガスシェルのタンクを流用して純正互換のカートリッジを作ってみました。
装弾数は8発だったのですがさすがに5m程度しか飛ばず、15mくらい飛ばせるのは3発程度まででした。
これならタナカのカートをそのまま使った方が良いということで、タナカガスシェル仕様に改造することにしました。
お手軽な改造方法は純正の深いチャンバーに適当な上げ底を付ける手法ですが、せっかくならガスのパワーを
有効に使えるようにしたい、と考えて本格的に改造することにしました。

 まずはインナーバレルを抜いてみました。
 センターのシャーシと一体になっていましたが何とバレルは
 プラスチック! 
 マルイ純正のローダーチューブの方が精度が良さそうです。











 さらに、シャーシとチャンバー?は接着剤一滴でくっ付けてあるだけです。
 先端はアウターバレルの穴に収まるだけなので固定はこの一点のみ。
 軽く動かしただけでポロリと外れました。


このままではサイズの小さなタナカのシェルはバレルの奥底に落っこちてしまうので
何かでスペーサーを造る必要があります。
シェルの外形からすると内径20mm、肉厚1mmのパイプがあるとベストなのですが
どこの店を回っても外形19mmか内径20mmでも肉厚が3mmくらいあって太すぎる物しか
ありませんでした。
直接「パイプ」で探すと適当な物が無いので部品で何かいい物が無いかと探していると・・・
ありました! 農事用のビニールハウスの骨組用で19mmパイプ同士を繋ぐジョイントです。
19mm用とはいえ微妙にアバウトな作りだったおかげで、切り口のバリを取るだけで専用品の
ようにジャストフィットです!
中での遊びがほとんど無いためインナーバレルとシェルのセンター取りをどうするか?という
問題も解決しそうです。


早速加工です。
まずは不要なジョイント用のネジ部分をカットします。
側面に穴が開きますがここで気密を取る必要がないので問題ありません。
金属チャンバーとなるので穴が開いていた方が銃刀法上も好ましいと思います。
(アウターに入って見えない所なのできれいに切り取る必要はありません)

さらにエジェクターが収まる部分もカットします。
カットした破片は後で再用するのでこちらはきれいに切り取ります。


次はこのチャンバーとインナーバレルをジョイントする方法を考えます。
色々試していると純正チャンバーパーツがジャストフィットということが分かりました。


シェル先端と接触するチャンバー前面はガス漏れを防ぐためにパッキンを付ける予定ですが柔らかくて
弾力がある物の方がバルブを押す力だけで十分気密が取れるので一般的なOリングではなくソルボセイン
を使う予定です。
3mm厚のシートを用意していましたが適当に組み合わせたパーツでできた隙間が2.5mm!
このまま貼り付ければ理想的な気密が取れます。

インナーバレルはマルイ純正を使用します。
入り口での弾のツマヅキを防ぐためテーパーを付けます。
長さを合わせてカットした先端もテーパー処理後鏡面仕上げにします。


純正チャンバー内を削ってバレルが通るようにします。
ホップパッキンはパイソン用Vパッキンを使用
気密は他の部分で取るのでホップパッキン周りの隙間はそのままです。
(この銃に必要なのか?という話は置いておきます)



これまた純正品のようにピッタリです。


チャンバー前側の隙間とインナーのガタツキ防止には画像のスリーブを使用します。
これはKMのセパレートチャンバーをセットする時に使う治具です。
何かに使えそうなので取っておいたのですがこんな所で役に立ちました。


シェル側チャンバーとの遊びをなくすためにはアルミパイプをカットして取り付けました。
これでインナー側のセンター出しも完璧です。


仕上げにシェルとの密着部分の気密を取るソルボセインを貼り付けます。


シェルチャンバーと組み合わせてシャーシに固定しました
インナーバレルは銃口から丸見えでは迫力が無いので短めにしています。


アウターバレルにセットしてみました。
青いソルボセインがシェルとの気密を確保します。


次はエジェクターの加工です。
シェルの外形が小さいので当然純正のままでは機能しません。
ここでシェルチャンバーをカットしたときの破片を使います。
エジェクターの下地処理をしたあと金属パテを使って破片を貼り付けます。
固定後に成型と塗装をすればOKです。


純正のハンマーピンは細いダイキャスト製でかなり下向きに付いています。
純正カートはバルブの径が大きいのでこれで押せるのですがタナカ製カートは
バルブを押す穴が小さいためこのままではリムを押してしまいます。
上向に修正してもいいのですが非常にもろく、開放に力が必要なタナカ製カートを
押すには強度に問題がありそうなのでカットして別のピンを付けます。


4mm径の金属棒を新たに取り付けました。
ハンマーの肉厚が太くなったので真鍮のスペーサーの代わりに
短いアルミパイプを準備しました。


ハンマーの構造上どうしてもピンが下向きになるので
太くすると同時に5mmほど高い位置に変更しています。


これで完成です!
タナカ製シェルもピッタリでエジェクターも機能します。




さて、問題の実射性能です。
単発での初速は65m/s、3発装填で58m/sでした。(気温20度)
3発装填射程は35m程度で弾の間隔は2mほどでした。
上向にすれば40mくらいは届きそうです。
銃口から生ガスが2mくらい飛ぶので迫力満点です!

なかなか満足いく完成度ではありますが課題もあります。
それは「トリガーが重い!」ということです。
コイツのトリガー機構はテコの原理で直接シェルのバルブを押すのですが、支点と作用点の距離が
非常に長いためトリガーに負担がかかるのです。
特にガス圧が上がるとバルブが重くなるので夏場は厳しいかもしれません。
ここの所はトリガーシステムを作り直す予定です。

もう一つの課題は、生ガスの入れ具合で飛び方が全く異なるということです。
一杯に生ガスを入れると強烈な噴射を楽しめますが飛距離は落ちます。
最適な状況であればホップとのバランスで45mくらい飛ぶこともあるので試射を繰り返してベストな
ガス量を見つける必要があります。
また、シェルのOリングがきつくオイルを差さないと弾が出ないのですが、このオイルの差し加減でも
ホップのかかり方が変わるのでこの辺りも何とかしたいと思います。

余談ですが・・・
この銃は工具なしで簡単に画像のように3分割にできます。
これならこっそりポケットに忍ばせられます(そんな必要ないですね)
ちなみにここから最速3秒で組み立てられました(全く意味ありません)
ホントに余談でした。



【トリガーシステムの製作】

ガスシェル化に手を付けたのはまだ肌寒い時期。
チャージして放置しておいても大してガス圧も上がらす、トリガーは重いながらも気合を入れて引けば
何とか発射出来ていました。
しかし気温が上がると同時にガス圧も上昇、モスカートのように機械的にバルブが開放されるのであれば
ガス圧に関係なくわずかな力で発射できますがタナカのガスシェルは通常のガスハンドガンのマガジンと
同じように開放バルブにまともに内圧がかかります。
炎天下で10分も放置すればトリガーは全く動く気配すらありません。
これは作用点から逆に力点を押し上げようとするテコの原理を逆にした純正トリガーシステムのおかげです。
ダブルアクションの銃でハンマーを押さえた状態で必死にトリガーを引いている状態がこのMADMAXなのです。

このままではトリガーやシアが折れてしまいそうなので以前から計画していたトリガーシステム製作に手を付けました。
試行錯誤の現場合わせでイメージ通りのシステムが完成!
シンプルな構造とはいえかなり苦労しましたが詳しい工程や構造を説明したところでMADMAXユーザー自体が
化石的な存在なので詳細については省略します。
ユーザーであれば画像を見れば理解できるでしょう。
(画像は仕上げ前のパーツの仮組み状態です)


結果としては大成功!
違和感無くトリガーが引けます。
二つのトリガーに指を滑らせて2連射も可能になりました。
実用性を聞かれると何とも難しいところですがアクションと雰囲気が楽しめる面白い銃になりました。

【懲りずに・・・】
それなりに雰囲気は楽しめるようになったもののやはりもう少しショットガンらしいインパクトが欲しいところです。
そんな矢先、タナカ互換の海外製のシェルが登場しました。
メーカーはパーツ類でも有名な「MADBLL」です。


5発入って流通価格は約8千円、1発1,600円とかなり割高です。
(タナカ製と違ってオールアルミアルマイト)


注入バルブは側面にありタナカのように専用のチャージ用具は必要ありません。


弾は6発入ります。
単価が高いのでこれくらいは入ってくれないと物足りません。


何といってもバルブの軽さが最大の魅力です。
バルブ自体のスプリングのテンションはありますが内圧に関係なく作動してくれます。
画像のように指で普通に押しても解放されます。


タナカ完全互換なのですでにタナカカート仕様に改造しているMADMAXには
ジャストフィットです。
(ノーマルマッドマックスには使用できません)


気になる実射性能です。
初速は1発装填で96m/s
     3発装填で72m/s
     6発装填で56m/s

シェル単体では発射後すぐに弾が散らばってしまいますが銃に装填すると
きれいに弾道が伸びます。
どうやらダメ元で付けたホップパッキンがしっかり機能しているようです。
タナカシェルの時には効果が体感できませんでしたが今回のシェルは
相性がいいようです。

3発装填では20mで拡散50cm、30mで拡散1m(実用射程30mまで)
6発装填は10mで拡散50cm、20mで拡散1m(実用射程20まで)
屋外フィールドではあまり使用機会がないでしょうが20m以内の接近戦や
インドアフィールドでは一発必中の実用性があります。
6発装填の控えめな初速は近距離での相手へのダメージも少ないので
安心して使えそうです。
このカートをタナカのショットガンに使用するとかなり実用的な性能になるでしょうが
排莢されたシェルの管理が面倒なのでゲーム向きではないですね。

【ホルスター編】
せっかく実用的になったのでゲームでの携行を考えてみました。
マッドマックスといえば映画と同じ革製のガンベルトが存在しますがミリタリー系の
装備にはミスマッチです。
何かいい物は無いかな〜?と探していたらありました!
SUSだったでしょうか?デザートイーグルも入る大型オート用ホルスターです。


一見すると全く合わないように見えますがちょいと癖を付けてやると・・・・・
こんな感じで入ってしまいました。
適度に締め付けているのですっぽ抜けてしまう事も無く、それでいて
スムーズに抜き差しできます。


ベルトループもあるので色々な装備に付けることもできます。
これで携行性もアップで実用性が向上しました。


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