AF製メカボックスへ換装

最近よく見かける「開けずにスプリングが変えられる」メカボックスを導入
しましたので参考までにご紹介します。
メーカーはAF(ARMY・FORCE)ですべて組み込まれたフルコンプリート
が発売されていますが、好みのセッティングにしたかったので今回は外装と
配線のみが組み込まれたものをチョイスしました。
配線は前出し・後ろ出しが選べます(ストックインなので後方を選択)
工作精度が非常に良く表面処理や面取りも丁寧な仕上がりでマルイ純正より
良く出来ています。
付属の配線はハイグレードのシリコンコードです。


このメカボの特徴はスプリングの着脱機構だけでなくトリガースイッチの構造
にもポイントがあります。
大陸製電動ガンに多い「リミットスイッチ方式」です。
スイッチ自体は一般的に流通している工業用で電流容量が高く作動がしっかり
しています。
ONポジションになると一気に接点が入るためマルイ式トリガーのように
「半引き」で接点を痛める心配も無く、最近の低負荷仕様であればFETが
なくてもこのスイッチで十分な訳です。
特に気に入っているのがトリガーストロークとフィーリングです。
マルイ式はトリガー先端で約8mmのストロークがあるのですがリミット式は
約4mmです。
しかも「カチッ」とメカニカルな感触があるので個人的にはセミオート射撃には
こちらの方が好みです(もちろんマルイ式が好きという人もいるでしょう)


メカボックス内部はもちろん強化仕様です。


マルイには無い気が利いたポイントです。
モーターの横を通過するリードの通り道がきちんと確保されていてしっかり
ホールドしています。
(マルイの場合、収まりが悪くてピ二オンで傷をつけてしまうことがあります)



組み込む内部パーツ紹介

●スプリングガイド●
付属のスプリングガイドは右の物になります。
今回は左のベアリング付きの物を使用します。(別売りです)
吸排気系とスプリングは現在使用中の物を流用するのですがスプリングの調整を
ベアリング付きガイド仕様に合わせているのでこちらもそれに合わせます。
(新しいスプリングにすればいいのですが調整が面倒なので手抜きです)
スプリングのよじれを解消するベアリングですがピストン側かガイド側のどちらかに
付いていいれば効果は十分と思います。
注意するのはどちらの側でもベアリングを入れると嵩上げ分ほどスプリングの圧縮
が強くなるので若干初速が上がります。
逆にベアリング付きをノーマルタイプにすると初速が落ちるのでスペーサー等で
調整しなければなりません。
※このガイドはAF専用なのでマルイとは互換がありません
 このメカボックスはマルイ純正タイプのガイドを使用することもできますが
 当然その場合は後方着脱はできません。


●8mmベアリング軸受●
フルコンプリートはべベルにベアリング、それ以外はメタルのシムを使用しています。
今回のメカボは軸受も付いていないのでUFCの8mmベアリングをチョイスしました。


●ギアセット●
ギアはベアリングと同じくUFCのハイスピードギアを使用します。
ハイスピードとはいっても爆速ではなくちょこっとハイスピードの16:1です。
マルイ純正はおよそ18:1、マルイのハイサイや社外製本気のハイスピードはおよそ
13:1なんで「ちょこっと」がご理解いただけると思います。
目的はセミの切れ重視とフルの時に実用レベルの気持ち速い程度の回転です。
鬼のような高回転は目指していません。
セミの立ち上がりだけを考えればノーマルギア比の方が有利ですがフルの時に
ちょっと物足りません。
立ち上がりの負荷は若干増えますがコイツの逆転防止ラッチの受けは6か所付いて
いるのとモーターもイーグルの1100でちょっとトルクアップするのでギア比-2の負荷
は相殺されるかな?という感じです。


UFCといえばかつては安かろう悪かろうのイメージが強かったのですが最近では
精度も飛躍的に向上し、それでいて価格が安いので好んで使用しています。
このギアも面取り加工などが丁寧に処理されているのでノイズ防止のための
磨き作業も最小限で済みます。

●吸排気系●
今回の吸排気系は現在使用しているメカボックスから移植します。
シリンダーヘッドはハイサイクル仕様でノーマルにショートストロークダンパーが
付けてあります。
ピストンヘッドはアルミペンタホール(ベアリング付き)をノーマルピストンに組んでいます。
ハイサイはクラッシュするリスクが高いのでもしもの時にギアを守るよう一番安価で
交換が容易なピストンをノーマルにしてここのギアを飛ばすようにしています。
ショートストロークダンパーに合わせてピストンの歯を2枚半カットしています。
今回の移植までに相当数撃っていますが全く損傷がないのでそのまま使用します。

ピストンヘッドが後方吸気で抵抗が少ないのと、極限のハイサイクルにするわけでも
ないのでシリンダーはノーマルを使用します。
テフロン系の高価なシリンダーは体感効果がないので使用しません。
ただし、ショートストロークダンパーはギアカットのショートストロークと異なる圧縮範囲
を使用するのでM4用のスリットの入った加速シリンダーでは排気量不足になるため
スリットの無いフルサイズを使用します。

●メカボックスの事前準備●
新しいメカボックス、特に社外品を組み込む時は色々と準備が必要です。
まずはピストンが走るレール部分の研磨です。
かつては耐水ペーパーとコンパウンドでピカピカにする鏡面仕上げをやってました。
しかし鏡面状態はグリスの保持ができないためすぐに潤滑性能がなくなります。
よって作動中は表面処理の摩擦だけで動いている状態になります。
この事に疑問を持ってからはレールの研磨はスムーズに滑る程度までに留め
潤滑剤が残留するための「窪み」が残るようにしています。
研磨作業もレール全体をむやみに磨くのではなくピストンを滑らせてみて接触痕が
付く部分だけ軽く研磨しています。
タペットプレートの溝も同様に行います。


AF製メカボックスは独自形状のカットオフレバーです。
このレバーもスムーズに動くよう研磨と調整が必要です。
今回の製品の場合、固定用ネジをいっぱいに締めると動きが渋くなるのでスペーサー
として極小のスプリングワッシャーを入れました。


メーカー純正のメカボックスを純正フレームに組むのであれば気にすることもないですが
他社製同士の組み合わせの際は必ず事前に仮組して干渉箇所や固定ピン類が正常に
通るかを確認する必要があります。
このメカボックスもVLTORフレームにはあっさり収まりましたがロックピン類は干渉して
通りにくい部分があったので修正しました。
場合によってはメカボックス外側とフレーム内側も加工しなければならない事もあります。

●軸受の取り付け●
メカボックスの事前処理が完了したらいよいよ組み立てです。
まずは軸受を取り付けます。
メタル軸受などは動かないよう瞬間接着剤を使用する必要があります。
軸受が動くとノイズの原因になります。
(社外品軸受は緩すぎて接着剤を使用してもすぐに外れる場合もあります)
軽く叩く程度で入るテンションが理想的ですが合わせてみないと分からないのが難点です。
UFCのベアリングは理想的なテンションで接着剤無しでも完全に固定できます。
(一応接着剤は使用しています)
ただしベアリングは非常にデリケートなので圧入は外殻だけを正確に叩かなければなりません。


●シム調整●
シム調整はノイズ防止やスムーズな作動、クラッシュ防止にとても重要です。
主なポイントは次のようになります。

1.ギア同士が適切な幅で噛み合うこと
   (重なりが浅いとクラッシュの恐れあり)
2.ギア同士に適切なクリアランスがあること
   (重なり過ぎると不要な部分が干渉してノイズが大きくなる、抵抗が増える)
3.メカボックス内での左右の遊びを最小限にするとともにスムーズに回転するだけの余裕を持たせる。
   (余裕が無さ過ぎると抵抗が増えて回らない、余裕があり過ぎると1、2の調整が狂ってしまう)


文字にすればごく当たり前のことでシンプルですが達成するのはなかなか手間がかかります。
いつも同じメーカーの同じ製品だけを組んでいれば悩むこともなくレシピ通りに組めますが
何か1つ変わってもシム調整は必要になります。
調整の手順は人さまざまなので各種ホームページやブログが参考になります。
私の場合、ギア1個づつの調整をしてから3個組の微調整、その後全ての機関部を
組み込んでボックスにグリップとモーターを直付、モーター位置の調整をしながら試運転、これを
目標値に到達するまで繰り返す、という手順を取っています。
今回のような全くの新規であれば通常の調整よりさらに開閉回数が増えます。
どんな手順でも重要なポイントは「必ず完成状態のトルクでネジを締めて確認する」ということです。
ボックスを手合せした状態での調整は完成時に狂いが出ます、面倒でもきちんと締めて確認しましょう。
あと、ボックスのネジは締めすぎないのも重要です。
スプリングワッシャが付いていればワッシャの段差が無くなって密着した状態からほんの少し
増し締めする程度で十分です。
私はドライバーやレンチを強く握らずに指先だけでつまんで回すようにしています。
それで回せなくなった所から少しだけ締め増しします。
ドライバーをしっかり握ってグイグイ回すとすぐにネジをなめてしまいます。
メカボックスや外装に限らず、電動ガンのネジはネジ止め剤を使用してほどほどに締めるのが理想的です。

ベアリング軸受の場合は使用するシムでの注意点があります。
それは「ベアリングに直接当たるシムは外径の小さな物を使う」ということです。
ベアリングはメカボックスに固定される外殻とギアの軸を受けて回る内殻があります。
外径の大きなシムでこの二つを同時に押さえるとせっかくのベアリングにブレーキをかけることになります。
ベアリング内殻だけに接触する外径が小さいシムを使用することで内殻側は干渉を受けずに独立して回る
ことができます。(干渉しなければ2枚目以降の外径は大きくてもOKです)

スパーの片面にシムを入れて回転のチェックです。
コマのようにくるくる回るのでタイムアタックをしてみたところ最高68秒回り続けました!!
実際何の意味もありませんがそれだけUFCの精度が良くなっているということです。
やはりギアと軸受は同一メーカーがいいですね。


●パーツ組み込み●
メカボックスにパーツを組み込みます。

外れやすく面倒なトリガー周りは反対側のボックスにしっかり付いていて落ちません。
メインスプリングも後から入れるので組み立ては非常に簡単です。

【ボックスが閉まらない時のコツ】
吸排気パーツがきちんと定位置に収まっているか、ピストンがレールと合っているかを
確認します。
タペットのセクターギア側はリターンスプリングのテンションで浮き上がろうとします。
最初からタペットのギア側を定位置に付けるとシムを飛ばしてしまうのでタペットをシムの上に
乗せてボックスを被せ、ある程度位置が合った時点でノズルを押し込むとスルリと収まります。
後部は逆転防止ラッチの軸がスプリングに押されてずれていることがあるので細いレンチや
精密ドライバーで穴に戻るようにアシストすればボックスは自然に閉じます。

ここまで完成すればパワー調整のために頻繁に開ける必要はありません。
ネジ止め剤を使って仕上げます、実に簡単です!

最後にスプリングをセットして完成です。
開け閉めの際にスプリングが吹っ飛ぶ心配もありません。
(純正タイプのスプリングガイドを付けるスリットも確認できます)


最近の海外製M4フレームはボルトストップ機構がライブな物がほとんどです。
ホップ調整のために開いたダミーボルトはリリースボタンを押すことで「パチン」と閉まるのですが
古いメカボックスやマルイ純正では干渉して閉まりが悪いモデルもあります。
このメカボックスはその点を完全にクリアしてあるため何の干渉もなく作動します。
特にチャージングハンドルの滑りが良く、ノーマルのようなガリガリ感もありません。

●実射●

トリガーを引いてから発射するまでのレスポンスはマルイ系スイッチにFETを組んでいたのと
遜色ありませんが、トリガーを引く感触とダイレクト感は全く異なるものです。
ゆっくり引いても作動ポイントに来ると「カチッ」と確実に作動するのでシアが落ちるような
感じです。
カットオフもマルイと異なり非常にシンプルで部品数も少ないのですが2発発射など無く
正確に単発でカットされます。
ショートストロークの吸排気系に若干の低比率ギアの組み合わせも良いようでセミの切れを
損なうことなくフルオートの回転も快調です。

今回は他の機関部を調整が出来上がっているメカボから流用したため初速の調整が不要
でしたが、いずれスプリングが弱って来た時はメカボックスを開かずに調整ができる恩恵を
受けるでしょう。
メンテナンスや調整をDIYでされる方にはとてもお勧めなメカボックスです。


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